暇なときにでも

日々起きた出来事やふと思いついたことを書きます。たまに本、映画、広告のことも。

奇妙飯『もはやルーいらないカレー 〜京風カレー おこしやす〜』

昨今、女子高生の間で流行っていると言われる“奇妙飯”。

 

流行りすぎて逆に流行っていないという説もある。

 

少なくとも自分は聞いたことがない。

 

奇妙飯とは、その美味さからではなく。

 

「何それ」という興味心から食べてみたくなる飯のこと。

 

初見だと怪訝な顔付きになるのもポイントである。

 

今宵はそんな奇妙飯を紹介していこうと思う。

 

~奇妙飯~

 

『もはやルーいらないカレー』

 

カレーライスといえば、ルーとご飯。

 

両者は互いに切っても切り離せないもの。

 

ルーが要らないカレーだって?

 

どうせ眉唾な噂だろう。

 

決して信じることはなかった。

 

しかし、その奇妙さに心惹かれたことは否定できない。

 

私は暇な時間を見つけ、噂の出どころ“京風カレー おこしやす”を訪れた。

 

f:id:akiyamakaeru:20210924204139j:plain

 

場所は淡路町。看板には京風カレーと書かれている。

 

京風とはこれいかに。

 

謎は深まるばかりだが、好奇心に背を押され暖簾をくぐる。

 

メニューはそこまで尖っていないようだ。

 

野菜カレーをベースにして、鳥ソボロ、豚ソテー、牛煮込みと種類がある。

 

とりあえず、ここは奮発して牛煮込みカレーを注文してみた。

 

f:id:akiyamakaeru:20210924203947j:plain

 

運ばれてきたの奇妙感ゼロの美味そうなカレー。

 

これではただの普通飯ではないか。

 

ガセネタにいっぱい食わされたのかと、私は心の中で落胆した。

 

仕方なく、ノン奇妙カレーで空腹を満たそうとしたその時。

 

鼻から脳にかけて電撃が走った。

 

何だろう。

 

素朴でありながら奥深く、それでいてそこはかとない優しさを感じさせるこの匂いは。

 

目の前のカレーから、というより、ご飯からだった。

 

炊き込みご飯か…いや、ただの炊き込みご飯のそれではない。

 

真相を確かめるには舌の上に乗せるしかなさそうだ。

 

ルーは混ぜずに、まずはご飯だけを食してみた。

 

こ、これは…!!

 

口中に広がるのは魚介の旨味。おそらくは貝類。

 

さらに、その他にも何らかの食材が絶妙な塩梅で使用されている。

 

美味い…美味すぎる。

 

決してインパクトのある味ではない。

 

ただ、だからこそ飽きが来ず、スプーンが止まらないのだ。

 

ふと卓上に目を向けるとそこには醤油。

 

f:id:akiyamakaeru:20210924185740j:plain

 

おい嘘だろ…。

 

ご飯は確実に和テイストに仕上げられている。

 

即ち、醤油が合わないはずがない。

 

想像しただけで幸せ中枢が壊れてしまいそうだ。

 

しかし、どういう訳かカレー用と書かれている。

 

今、私が来ているのはめちゃくちゃ美味い白飯屋のはずだ。

 

カレーというのは何かの間違いだろう。

 

早速、この悪魔の調味料をご飯に数滴垂らしてみと…。

 

再び、稲妻が走る。

 

完璧と思えていた味に更なる進化が起きた。

 

まるでどこまで広がる悠久の大地を、一匹の白馬が優雅に駆け抜けていくような。

 

醤油は、足りなかったピースではない。

 

完成されたパズルをまとめるために存在する、唯一無二の枠組みだったのだ。

 

食べれば食べるほど、次を食べたくなる。

 

どんなに満腹状態でもこれならがっつけると思えてしまう。

 

あぁ、いつまでもこの時間が続けばいいのに。

 

そして、最後に恐ろしい事実に気づくのである。

 

「これ、ルー要らないんじゃね」…と。

 

~奇妙飯 終~

 

<あとがき>

 

後にご飯を調べてみました。

 

昆布と帆立の出し汁で炊き上げ、鰯粉と鯖粉を混ぜ込んでいるとのこと。

 

あと念のために言っておくと。

 

普通にルーとご飯を一緒に食べても美味しいです。

 

ただ…

 

ご飯だけで食べるのが美味すぎるんです。

 

そう言わせてしまうほどの罪深き奇妙飯。

 

“京風カレー おこしやす”にて食べられますので。

 

是非ともご賞味あれ。