読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

暇なときにでも

日々起きた出来事やふと思いついたことを書きます。たまに本、映画、広告のことも。

僕たちの一年戦争

最近ふと思い出した話。

 

小学生の頃に“制覇ブーム”ってのがあったんですよ。

 

どんなブームかというと

 

ある店で売られている商品を全種類一つずつでも買った人はその店の制覇者となります。

 

そして誰かに制覇された店では制覇者以外の買い物が禁止されるという恐ろしいルールがあります。

 

とは言っても子供の財力なんてたかが知れてるので

 

近所の自動販売機を制覇した!とかそのレベルの話でした。

 

ところが…。

 

制覇ブームがクラス全体に浸透してきた頃、とある事件が起こりました。

 

みんなが学校帰りによく立ち寄っていた駄菓子屋があるんですけど

 

突如、裕福な家の子でお坊っちゃんだった吉田君(仮)が

 

『その駄菓子屋を制覇する』と宣言したのでした。

 

その宣言を聞いて絶叫しながら慌てふためくクラスのみんな。

 

駄菓子屋は子供にとって授業や部活で疲れ切った体を癒すための憩いの場であり言わば聖域ですよ。

 

そこを制覇されるとなっては黙って見過ごすわけにはいきません。

 

その日から、みんなの気持ちは一つになった。

 

吉田君と戦争をしよう、と。

 

某年某日

 

小さな駄菓子屋の制覇権かけた戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

 

ついに始まってしまった苛烈なる制覇権争い。

 

駄菓子屋を制覇するということはそこで売られている駄菓子を全種類買うということです。

 

大人からすれば多少の無茶をすれば不可能ではありませんが

 

当時週150円程度の小遣いしか貰ってない子供たちからすれば

 

一介のサラリーマンがGoogleを買収するようなもんですよ。

 

そこでクラスのみんなが考えた作戦は

 

代表者一人に全ての財を託して吉田君に対抗しようというシンプルなものでした。

 

今でいうところのクラウドファウンディングですね。

 

正確には覚えていませんがかなりの額が集まったと思います。

 

これなら勝てる。

 

誰もが自軍の勝利を疑わなかった。

 

しかし、吉田君の財力は、そんな希望を片っ端から踏み潰してしまった。

 

みんなの見立てでは三週間もあれば全てにけりが付くはずでした。

 

その考えが甘かった。

 

吉田君はたったの一週間で駄菓子屋を制覇してみせたのだ。

 

クラスのみんなには肩を落とす気力すら残っていなかった。

 

この日から、長い、長い、冬が始まった。

 

戦いに敗れ、聖域すらも奪われてしまったクラスのみんな。

 

悪魔が乗り移ったかのように態度が急にでかくなった吉田君。

 

今、クラスは二つの派閥に分かれていた。

 

吉田君にお願いして駄菓子屋を使わせてもらおうという和平派。

 

今すぐ吉田君の息の根を止めようという強硬派。

 

ある日の放課後、それぞれの派閥が集まり会議が行われた。

 

和平派「もう和平交渉しかありませんよ」

 

強硬派「それじゃあ何の解決にもならない」

 

話は水掛け論となり先に進まる気配はない。

 

この会議の無意味さに誰もが呆れかけていたそのとき

 

「一つだけ方法がある」

 

言葉を発したのはどちらの派閥にも所属していない杉山君(仮)だった。

 

杉山君「制覇返しをすればいいんだ」

 

制覇返しとはすでに制覇されている店の商品をまた別の誰かが全種類買うことによって制覇権を奪い取れるという裏ルールである。

 

しかし、制覇返しには一つ厳しい条件があった。

 

全種類の商品を“一日で”買わなければならない。

 

クラスのみんなの財力を集めても制覇に三週間はかかる。

 

この条件をクリアするには程遠い。

 

杉山君「そろそろ、お年玉の時期だろ?」

 

その場にいた全ての人たちの目に、再び光がともった。

 

二つの派閥は一つの組織となりレジスタンスとして活動を始めた。

 

お年玉を貰うまでの間は吉田君の独裁王政の下で苦しい生活を強いられた。

 

だがしかし

 

駄菓子だけにだがしかし

 

駄菓子屋を一日で制覇するには十分な大金が集まった。

 

僕たちは吉田君の席の前に立ち

 

『これから駄菓子屋を制覇返しする』とのことを告げた。

 

動揺を隠せない吉田君を尻目に制覇返しは見事に成功。

 

代表者となった杉山君はその場で駄菓子屋の解放を高らかに宣言した。

 

杉山君「駄菓子屋はみんなのものだ!」

 

一同「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

みんなにまた

 

あの頃の笑顔が戻った瞬間であった。

 

~完~

 

ちなみに今おれは松屋の制覇者なので

 

松屋でご飯食べるときはおれの許可が必要ですからね。

 

第二の吉田君ここに誕生。