暇なときにでも

日々起きた出来事やふと思いついたことを書きます。たまに本、映画、広告のことも。

近未来おれおれ詐欺

~Part1~

 

ガチャッ。

 

おじいちゃん「はい、もしもし」

 

詐欺師「わんわん!」

 

おじいちゃん「ごん太か?」

 

詐欺師「そうだわん!」

 

おじいちゃん「おー、元気にしとったか?」

 

詐欺師「それがちょっと困ったことになってるんだわん…」

 

おじいちゃん「何かあったのか?」

 

詐欺師「バイク事故にあって今すぐにでも前足の手術代が必要なんだわん…」

 

おじいちゃん「それは大変だ!いくら必要なんだ?」

 

詐欺師「50万くらいあれば足りると思うわん」

 

おじいちゃん「そうか、待っとれすぐに用意してやる!」

 

詐欺師「本当かわん!今から言う口座に振り込んでほしいわん!」

 

おじいちゃん「ばあさん!ごん太が大変なんだ!今すぐお金を!」

 

おばあちゃん「何言ってんだい、ごん太なら今家に遊びにきてるじゃないか」

 

ごん太「にゃー」

 

おじいちゃん「…」

 

詐欺師「…」

 

…。

 

詐欺師「前足治った気がするわん!それじゃあわん!」

 

ガチャッ。

 

このようなわんわん詐欺にはくれぐれもご注意ください。

 

~Part2~

 

ガチャッ。

 

おじいちゃん「はい、もしもし」

 

詐欺師「にゃーにゃー!」

 

おじいちゃん「タマか?」

 

詐欺師「そうだにゃ!」

 

おじいちゃん「おー、元気にしとったか?」

 

詐欺師「それがちょっと困ったことになってるんだにゃ…」

 

おじいちゃん「何かあったのか?」

 

詐欺師「バイク事故にあって今すぐにでも前足の手術代が必要なんだにゃ…」

 

おじいちゃん「それは大変だ!いくら必要なんだ?」

 

詐欺師「50万くらいあれば足りると思うにゃ」

 

おじいちゃん「そうか、待っとれすぐに用意してやる!」

 

詐欺師「本当かにゃ!今から言う口座に振り込んでほしいにゃ!」

 

おじいちゃん「ばあさん!タマが大変なんだ!今すぐお金を!」

 

おばあちゃん「何言ってんだい、タマはもう…去年の夏に交通事故で…」

 

…。

 

おじいちゃん「分かっとるさ、そんなこと、分かっとる」

 

詐欺師「…」

 

おじいちゃん「これはタマのことを守れなかった、自分勝手な償いなんだ」

 

おばあちゃん「あれはおじいさんのせいじゃないわ!」

 

おじいちゃん「わしがあのとき目を離したから!」

 

おばあちゃん「そんなこと!」

 

おじいちゃん「全部わしのせいなんだ!」

 

詐欺師「それは違うにゃ!!」

 

おじいちゃん「タマ…」

 

詐欺師「ぼくがねこじゃらし目当てに不注意にも道路を渡ろうとしたんだにゃ。

 

おじいちゃんはそれに気付くとすぐにぼくを止めようとしてくれたにゃ。

 

でもぼくはそれを無視して道路に飛び出したにゃ…。

 

だから、だからおじいちゃんは何も悪くないんだにゃ!!」

 

おじいちゃん「わしを、許してくれるのか…?」

 

詐欺師「もちろんだにゃ。そもそも初めからこれっぽっちも恨んでなんかなかったにゃ」

 

おじいちゃん「ありがとう…ありがとうな…」

 

詐欺師「お金ももう必要なくなったにゃ」

 

おじいちゃん「そうなのか?」

 

詐欺師「おじいちゃんが元気でいてくれたらそれでいいにゃ」

 

おじいちゃん「そうか…うっ!!」

 

詐欺師「おじいちゃん!?どうしたにゃ!!」

 

おばあちゃん「おじいさん!!まさか持病が!!」

 

詐欺師「持病!?早く救急車を呼ぶにゃ!!」

 

おばあちゃん「今回ばっかりは助からないかもしれない…」

 

詐欺師「そんな、どうしてにゃ!」

 

おばあちゃん「手術代を…払えないから…」

 

詐欺師「…いくらにゃ?」

 

おばあちゃん「500万…」

 

…。

 

おれが今までに詐欺で稼いできた金は500万とちょっと。

 

はは、柄にもなく運命ってやつを感じてしまう。

 

まぁ、残念なことにこれ以上有意義な使い道は見つかりそうもない。

 

詐欺師「お金の心配はいらないにゃ」

 

おばあちゃん「え…?」

 

詐欺師「いいからおじいちゃんに手術を受けさせるにゃ!!」

 

おばあちゃん「どうゆ…

 

ガチャッ。

 

…。

 

その後。

 

『手術代にはこれを使うにゃ』

 

というメモと共に500万の札束をおじいさんの家の前に置いてきた。

 

手術は成功したのだろうか。

 

そもそも手術は行われたのだろうか。

 

それは分からないし確かめる気もない。

 

もしかしたらこの話のオチは。

 

騙そうとしていたおれが逆に騙されてしまったということなのかもしれない。

 

そうだとしたら実に滑稽な話だ。

 

われながら最高に情けない話だ。

 

でもそんなことはどうだっていい。

 

誰かに騙されようが。

 

結果的に損をしようが。

 

自分の行動に自分で納得できていれば。

 

それでいいんだ。

 

それに…。

 

あの家に行ったときに友達もできたしな。

 

ごん太「にゃーにゃー!」

 

~完~