暇なときにでも

日々起きた出来事やふと思いついたことを書きます。たまに本、映画、広告のことも。

猫田猫造ファイル

※今回も完全にホラーテイストです。

 

私の名前は猫田猫造。

 

ただし偽名である。

 

なぜ偽名を使っているかは後で説明するとしよう。

 

仕事はフリーのライターをやっている。

 

これは次に書く原稿の下書きのようなものだ。

 

今回は“ある島”のことについて書こうと思う。

 

私の聞いた話によるとその島は“猫島”と呼ばれているそうだ。

 

文字通り猫島にはたくさんの猫が住んでいてその数は人間よりも多いのだという。

 

私はそんな猫島に興味を引かれた。

 

いや、何かが引っかかったというべきか。

 

さておき。

 

まずは猫島に行ったことがあるという人物を探すことにした。

 

その人物は案外すぐに見つかり取材をさせてもらえることになった。

 

私は尋ねた。

 

「猫島とはどんな場所なんですか?」

 

彼は語った。

 

「まるで天国のようなところですよ」

 

その後もいくつか質問をしたがどれも似たような答えが返ってきた。

 

私は取材中ずっと奇妙な違和感を抱えていた。

 

それが何なのかは分からない。

 

分からないからこその違和感なのかもしれない。

 

取材も終わり解散を提案しようとする前に。

 

私は彼に最後の質問をした。

 

「お宅の猫ちゃんは可愛いですか?」

 

彼は答えた。

 

「家で猫は飼ってませんよ」

 

彼の持つ袋の中には大量のキャットフードが見えていた。

 

後日、私はどうしても彼のことが気になり探りを入れてみることにした。

 

調べを進めていく内に彼のことをよく知るという友人達から話を聞けることになった。

 

「彼は猫島に行ってから変わってしまった。

 

猫島に行くまではあんなに猫背じゃなかったのに」

 

続いて他の友人達からも同様に彼の変化を語ってもらった。

 

「この前一緒に食事をしたら肉派から魚派に変わってたんですよ」

 

「家に遊びに行ったら猫ひろしグッズで溢れ返っていました。

 

猫ひろしのファンだったなんて今まで聞いたことありません」

 

友人たちの証言には一つの共通点があった。

 

これらは全て猫島に行ってからの変化ということだ。

 

つまり彼は猫島に行くことで何らかの影響を受けたのであろうと考えられる。

 

そこで私はこれまでの情報を整理し一つの仮説を立てた。

 

―猫島には人間よりも猫の方が多い。―

 

―猫島から帰ってきた彼はまるで別人のようだった。―

 

―そう、それはまるで、猫のように―

 

あまりにも突拍子もなく、現実味のない仮説だが。

 

どうか驚かずに聞いてほしい。

 

『彼の正体は猫島の猫だったのではないか』

 

こんなことあり得るはずがない。

 

だがこう考えればすべての点は線となり辻褄が合ってしまう。

 

私はこれまでの経験からあり得ないなんてことはあり得ないということを学んでいる。

 

真相を確かめるには私も猫島に行くことで実際にこの目で確かめるしかないだろう。

 

…。

 

迂闊だった。

 

どうしてもっと早く気付けなかったのか。

 

…。

 

もし私の仮説が正しかったとするならば。

 

もし彼の正体が本当に猫島の猫だったとするならば。

 

私は彼に“会って”しまっている。

 

“猫としての彼”に会ってしまっている。

 

私は彼の友人たちから話を“聞いて”しまっている。

 

“彼に対して疑念を持って”友人たちから話を聞いてしまっている。

 

彼は気付いているかもしれない。

 

彼は私が気付いているということに気付いているかもしれない。

 

私は明日にでも猫島の調査に乗り出す予定だった。

 

だがその予定が実行されることはないだろう。

 

編み物なんてした覚えもないのに床には毛糸玉が転がっている。

 

玄関には見知らぬ長靴が置いてあった。

 

買った覚えのない三毛猫ホームズのDVDボックス。

 

おそらくは、そうゆうことなのだろう。

 

猫島の調査は今この文章を読んでくれているあなたに任せるとしよう。

 

私はもうこ

 

 

 

 


なんてな。

 

楽しんでもらえただろうか。

 

私は何事も無くピンピンしている。

 

今まで書いてきたことは全て私の妄想上での出来事だ。

 

猫島がそうゆう場所だったら面白そうだと思って書いてしまった。

 

明日にはちゃんと猫島に行って記事を書こうと思う。

 

では、また。

 

 

 

 

コメントが一件あります。

 

 

 

 


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匿名希望
あなたはなんで偽名を使ってたんですか?
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管理人
>匿名希望さん
何のことですか?
私の名前は猫田猫造ですよ。

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