暇なときにでも

日々起きた出来事やふと思いついたことを書きます。たまに本、映画、広告のことも。

からあげにはポン酢を

「待て、許可証を見せろ」

 

「…よし、通っていいぞ」

 

豚肉「ご苦労様です」

 

「待て、許可証を見せろ」

 

「…よし、通っていいぞ」

 

タマネギ「よろしゅうに」

 

「待て、許可証を見せろ」

 

「…よし、通っていいぞ」

 

ピーマン「うっす」

 

「待て、許可証を…はっ!失礼いたしました!どうぞお通り下さい」

 

お酢「うむ」

 

「待て、許可証を見せろ」

 

「…よし、通っていいぞ」

 

片栗粉「いつも大変ですねぇ」

 

「いや待て、止まれ!」

 

片栗粉「…」

 

「その積み荷は何だ?」

 

片栗粉「やだなぁ、ただの予備の食材ですよ」

 

「中身を確認しろ!」「はい!」

 

片栗粉「な…!やめてくだせぇ!!」

 

バサッ!!

 

パイナップル「はっ!」

 

「お前は…!パイナップルの酢豚への密入国は重罪だぞ!捕えろ!」

 

パイナップル「見逃してくれ!おれには妻と息子がいるんだ!」

 

「知ったことか!トロピカルジュースに連行しろ!」

 

パイナップル「そ、そんな…!!パナ美―!!パナ彦―!!」

 

片栗粉「すまねぇ…すまねぇ…」

 

…。

 

酢豚に限らず食材たちの密入国は後を絶たない。

 

ポテサラのリンゴ、カレーのジャガイモ。

 

彼らは何を思い罪を犯すのか。

 

彼らには彼らなりの考えがあるのかもしれない。

 

しかしそのために多くの市民を危険に晒すわけにはいかないと捜査官は語る。

 

いつの日か彼らと歩み寄れるときがやってくるのだろうか。

 

そんな日がくることを私は願うばかりである。

 

――食材警察24時――終――