恐怖に打ち勝つために
深夜、コンビニに夜食を買いに行ったときの話。
一通りの買い物を終えて店から出ようとするとある異変に気付く。
家からここまで来るのにに乗ってきたおれの自転車に見知らぬ外人が跨っていた。
これは世間でいうところのチャリパクというやつではないのか。
予想は的中していたようで外人は辺りを気にしながらすぐにでもその場から去ろうとしていた。
ここでおれから見たその外人の第一印象を説明しておきます。
ビリー隊長とボブサップを足して二で割らなかったような感じです。
要するにめちゃくちゃ迫力のある黒人の方です。
おれ「ヘイ!おれのバイセコーに乗ってどこへ行く気だ?」
とバシッと言ってやるつもりだったんですが少し予定を変更して
おれ「すいません…それもしかしたら僕の自転車かもしれないんですけど…」
とびきの営業スマイルで言ってやりましたよ!!
これが限界ですよ!!だって怖かったんですもん!!
相手はポケットを叩けばピ○トルがひとつ~♪の世界の人ですよ。
対してこっちはさっき買ったからあげ君とコアラのマーチしか持ってませんよ。
心臓に当たってたはずの銃弾が偶然からあげ君にめりこんだおかげで奇跡的に助かるなんてことがありますか。
極限まで殺傷能力を高めた暗殺用コアラのマーチとかだったら何となるかもしれませんけど。
意を決して外人に声をかけてみると。
一瞬。
緊迫した空気が辺りを張り詰め。
外人「…」
こちらの存在には気づいたが様子を窺うだけで何も反応はない。
おれ「…」
小便を漏らし続けるおれ。
しばらく気まずい膠着状態が続いた後。
その空気に耐えきれなくなったのかついに外人は口火を切った。
外人「ゴメンナサイ~チョットノッテミタダケダカラ~」
そう言って足早に立ち去っていった。
いやーよかった。
「あっ!やっぱりそれ僕のじゃなかったみたいです!」
って言いかけたけど言わなくて。
こうして大きな男の小さなプライドをかけた戦いは幕を閉じた。