桃と鬼の物語
今女子高生の間で大流行の嘘雑学。
みなさんも一度は聞いたとことがあるんじゃないでしょうか。
おれはありません。
今回はそんな嘘雑学シリーズ第三弾。
ある昔話に纏わる嘘雑学を披露しようかと思います。
ではどうぞ。
~犬の告白~
おれは犬。
桃太郎という昔話を聞いたことがあるだろう。
それには犬がきび団子をもらったお礼に桃太郎の仲間になったと書かれている。
あれは桃太郎の“嘘”だ。
たしかにきび団子はもらった。
だが、そのきび団子には遅延性の毒が入っていたんだ。
解毒剤を手に入れるためには桃太郎に協力するしかなかった。
たかがきび団子一つで、命をかけられるわけがない。
~猿の告白~
ぼくは猿。
桃太郎っていう昔話を聞いたことがあるかな。
それには猿がきび団子をもらったお礼に桃太郎の仲間になったと書かれているんだ。
でもそれは桃太郎の“嘘”。
本当はMEGUMIの写真集をくれたんだ。
MEGUMIの大ファンだったぼくはその誘いを断るわけにはいかなかった。
こんな卑劣な手段にぼくは、屈してしまったんだ。
~キジの告白~
あたしはキジ。
というのは桃太郎の“嘘”よ。
本当はハトなの。
クルックー。
桃太郎「知るかよ!」
カンッカンッ。
裁判長「静粛に!今は被告人の発言は認められていません」
桃太郎「すいません・・」
裁判長「では最後の証人の方、どうぞ」
~鬼の告白~
私は鬼です。
というのは桃太郎の“嘘”です。
本当はただの会社員です。
営業成績が伸び悩んできた頃。
桃太郎はいい話があると私のところへやってきました。
鬼になりすまして村人を襲ってほしい。
そこでおれ達が鬼を退治したフリをして村人からお礼をもらうから。
後でこっそり山分けしようという話でした。
私はついその話に乗ってしまいました。
しかし桃太郎は事前の打ち合せを無視して全力で私に襲いかかってきました。
そしてあろうことか私の全財産までも奪い去ってしまったのです。
私は何もかも失いました。
裁判長「分かりました。では被告人、何か弁明はありますか?」
~桃太郎の告白~
弁明も何もない。
こいつらの言ってることこそ全部“嘘”だ。
おそらくは全員、詐欺集団“鬼が島”のメンバー。
見た目はたしかにそっくりだが共に戦ったみんなとは声やくせが微妙に違っている。
何よりいくらなんでもキジとハトを見間違えるわけがない。
おれが鬼退治の報酬で得た財宝を慰謝料という形で踏んだくる気なのだろう。
さて、どうしたものか。
~おじいさんの告白~
わしは山へ芝刈りにいったおじいさん。
彼らの言っていることは“嘘”ではなく“本当”のことじゃ。
しかし桃太郎はそのことを憶えておらん。
なぜならわしが桃太郎の記憶の中から“消した”からな。
桃太郎は桃から生まれたんじゃない。
わしがつくった“ロボット”なんじゃ。
研究費用の底が尽きてしまったとき
桃太郎を使って一芝居打たせる方法を思いついた。
それがまさかこんなことになるとはのう。
~ハトの告白~
あたしはハト。
クルックー。
というのは“嘘”。
この外見は着ぐるみで、中身は“カニ”。
そしてこの場にいる本当の目的は“猿”への復讐。
やつは恩人であるはずの父に柿を投げつけた。
そして父は・・。
前に復讐を試みたときは逃げられてしまった。
だが今回は逃がさない。
この距離なら、外さない。
カチッ。
あれ・・。
カチッ・・カチッ・・。
・・・。
弾が・・出ない・・?
~おばあさんの告白~
わたしは川へ洗濯にいったおばあさん。
というのはもう根本的に“嘘”。
わたしの正体は未来警察“コードネームJ”。
この瞬間にカニが事件が起こすことは未来からの情報で知っていた。
事件を未然に防ぐため裁判所を調べるとハトの着ぐるみと拳銃が見つかった。
そこで拳銃の弾を空砲にすり替え現行犯でカニを逮捕することにした。
これでこの時代での役目は果たした。
おじいさん、短い間だったけど、楽しかったよ。
また会えたらいいね。
ばいばい。
~完~