暇なときにでも

日々起きた出来事やふと思いついたことを書きます。たまに本、映画、広告のことも。

それでも僕は山田じゃない

山の手線の電車内での話。

 

ipodで音楽を聞きながら椅子に座っていると

 

何やら二人組の女子高生がこちらを指さしながら話していました。

 

その二人は全く見覚えのない初対面の人たちです。

 

もしかしてどっちかの子がおれに一目惚れして

 

告白する機会をずっと窺っているのでは!?

 

と見当違いの妄想に胸を膨らませていました。

 

話の内容がどうにも気になり、ipodの音量を徐々に下げていくと…。

 

女子高生A「あいつ山田じゃね?」

 

女子高生B「絶対そうだよ」

 

先に言っときます。

 

おれの名字は山田じゃないです。

 

神に誓って山田じゃないです。

 

I am not 山田。

 

どうやら山田という人物と勘違いされてるらしい。

 

このときおれは勘違いという偶然から

 

見ず知らずの女子高生たちとの交流が始まるのでは!?

 

といまだに淡い期待で胸を膨らませていました。

 

そんなこと考えてる前に気付くべきだったんです。

 

暗雲が近づいてきてることに。

 

むしろ竜の巣が近づいてきてることに。

 

女子高生A「何であいつ無視してんの?」

 

女子高生B「そりゃあたし達にあんなことしといて今さら話かけられないでしょ」

 

徐々に自分の置かれている状況が掴めてきました。

 

『見知らぬ二人の女子高生』

 

『山田という人物と勘違いされているおれ』

 

『山田は彼女たちに対して大きな過ちを犯している』

 

今、すべてのピースが揃いました。

 

たぶん小学二年生でも理解できたと思います。

 

おれが今処刑台への階段を一段ずづ上がっていることに。

 

山田君が起こした何らかの罪が時を超え

 

今まさに何の事情も知らないおれの罪へと移り代ろうとしていました。

 

というかすでに移り代わってました。

 

こんな場合の対処の仕方なんて誰にも教わってません。

 

頭をフル回転させてなんとか打開策をひねり出そうとする。

 

万事休すのおれが編み出した起死回生の方法とは・・!?

 

寝たふりをする。

 

大抵の危機はこれでなんとかなるってばっちゃが言ってました。

 

そうこうしている内に状況は急変し最悪の展開を迎える。

 

女子高生A「顔見てたらなんか腹立ってきたわ」

 

女子高生B「やっぱり決着つけとこうか」

 

どす黒い殺気を纏ってこちらへと近づいてくる二人。

 

内心ではビビりまくりながら寝たふりを続けるおれ。

 

優しく微笑みかけてくれる頭の中のお父さんとお母さん。

 

するとまるで狙っていたかのような絶妙なタイミングで開くドア。

 

タッチダウンを決めるが如く一瞬の隙をついて外へと飛び出すおれ。

 

待てよ山田!逃げんのかよ山田!

 

背後から聞こえてくる恐ろしい罵声の数々。

 

またもおれを助けてくれるかのような絶妙なタイミングで閉まるドア。

 

恐る恐る振り返ってみるとおれを睨みつける鬼が二人。

 

何事も無かったかのように発車する電車。

 

生きてるって素晴らしいと実感するおれ。

 

めでたしめでたし。

 

とここでこの話は終わりなんですが

 

最後に、本物の山田君に一つお願いがあります。

 

ちゃんとあの女子高生二人に

 

山の手線で逃げた人はただの迷える子羊だったんだよと説明しといてください。

 

じゃないと二度と安心して山の手線に乗れなくなるんで。