暇なときにでも

日々起きた出来事やふと思いついたことを書きます。たまに本、映画、広告のことも。

ばいおはざーど避難訓練

「それじゃあ次の段落までは吉田君、読んでください」

 

「えーと、今日も花子はド派手な化粧をして歌舞伎町へと繰り出しました。そして夜の蝶となった花子は…」

 

ファンッファンッファンッ。

 

突如鳴り響く警報音。

 

『これは避難訓練です。繰り返します、これは避難訓練です。3年2組よりバイオハザードが発生しました。生徒は先生の指示に従って速やかに避難を開始してください』

 

「みなさん聞きましたね。訓練だからといって気を抜いてはいけませんよ」

 

「先生!ばいおはざーどって何ですか?」

 

「人間がゾンビになっちゃうことです」

 

「きゃー!ゾンビだって!怖―い!」

 

「そこ、騒がない!いいですか、避難するときに大事なことが三つあります。

 

おさない、かけない、空いてる時間に弾のリロードを忘れない、です。

 

素人は弾切れでパニックを起こしてる隙にやられます。分かりましたか?」

 

「はーい」

 

「では準備が出来た人から廊下に並びましょう。

 

インクリボンを忘れてきた人は先生のを貸すので言ってください。

 

こら、山田君!壁に向かって進まない!」

 

「あぁ・・あぁ・・」

 

「先生!あそこに3組の田中君がいます!」

 

「あれはもう田中君ではありません!撃ってください!」

 

パンッパンッ。

 

「うぅ…」

 

「なんとか倒せましたね。負傷した人はグリーンハーブを使っておきましょう」

 

「はーい」

 

「ぐぅぅぅおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「先生!今度は校長先生がこっちに向かってきます!」

 

「それは大変!校長先生は今はまだ倒せません!逃げましょう!」

 

「そんなことないよ!きっと校長は頭が弱点だ!頭を狙えば倒せる!」

 

「そうか!ズラだからか!校長ズラだからか!」

 

「うぅ…」

 

「やっぱり効いてる!」

 

「やめなさい!これは訓練です!ズラは関係ありません!精神的にこたえてるだけです!ちょっと泣いてるだけです!あと校長先生はズラではありません!」

 

「うぅ…」

 

「今の内に逃げましょう」

 

一同が辿り着いたのは屋上だった。

 

「どうして校庭じゃなくて屋上なんですか?」

 

「それはすでに町全体に感染が拡大してしまった場合を想定しているからです」

 

「え!それじゃあ僕たちこれからどうなるんですか!?」

 

「安心してください、屋上に救助ヘリが来る手筈になっています」

 

「あ!みんなあれ見て!」

 

「訓練でも実際に来てくれるんだ!」

 

パタパタパタパタパタ。

 

救助ヘリが屋上に着陸しようと近づいてくる。

 

そのときだった。

 

救助ヘリが、爆発した。

 

「え…」

 

「みなさんに四つ目の大事なことを言い忘れていました。

 

クライマックスでの救助ヘリは大抵爆破される、ということを…」

 

「ぐぉぅ…ぐぉぅ…」

 

昇降口に立っていたのは、校長先生だった。

 

「どうやらここで決着をつけるしかないようですね」

 

「しねー!ズラー!帰れー!」

 

「うるさい!!私は断じてズラではない!!」

 

「校長先生!キャラ!ゾンビキャラ忘れないでください!」

 

「ぐぉぉぉぉぉ!!」

 

「ただの銃では校長先生を倒せません、いったいどうすれば…」

 

為す術のない生徒たち。

 

するとどこからか何者かの声が聞こえた。

 

「これを使いなさい!」

 

「あなたは…保険室のマドンナこと斉藤先生!!」

 

渡されたのはロケットランチャーだった。

 

「これなら校長先生にとどめをさせます!

 

この一発は学級委員長の佐々木君に任せます!いいですね!?」

 

「はーい!外すなよ佐々木―!がんばれ―!」

 

「くらえズラ校長ぉぉぉぉ!!!!」

 

…。

 

「はい、これにて避難訓練は終了です。教室に戻りましょう」

 

「休み時間潰れちゃったなー」

 

「次の授業何だっけ?」

 

「今日の給食の冷凍ミカン余るかな」

 

…。

 

校長「もうこの避難訓練やめにしたい…」