掴み取れ一番星、聞くんだA賞の声【中編】
一番くじ。
それは箱の中に無限に広がる宇宙空間に
ところ狭しと散らばった星たちの中から
自分が欲しいと思った光り輝く一番星を掴み取る。
言うなればそうゆう商品です。
そしてお父さんはそんなロマン溢れる一番くじの挑戦者に名乗り出たというわけです。
お父さん「どれが欲しいやつなの?」
子ども「おっきいぬいぐるのやつ!」
どうやらお目当てはA賞のぬいぐるみのようだ。
お父さん「じゃあこのくじを三回」
おれ「はい、ではこちらから三つお選びください」
お父さんが箱の中に手を入れようとした瞬間。
子ども「待って!!」
何が気に食わなかったのかお父さんを制止する子ども。
お父さん「なんだどうした?」
子ども「三人だからみんなで一枚づつ!」
状況を把握しようと頭をタケコプター並に回転させる。
なるほど。
まだこの子は小さいから算数ができないんだ。
君とお父さんを足しても二人にしかならないんだよ。
子ども「僕とお父さん!」
そうそう、1+1は2にしかならないんだ。
子ども「あとこのでっかい人!」
子どもは何かを指さした。
その指の先を辿ると一人の男がいた。
というかおれだった。
いやいやいやいや!!
店員がお客さんのくじ引いちゃうのはよくないんだって!!
なんか気まずい感じになっちゃうんだって!!
おれ「うーん…」
返答を渋っているとお父さんが口を開く。
おぉ!!あなたが味方になってくれたら百人力だ!!
お父さん「じゃあ、お願いしてもいいですか」
うわぁぁぁぁ!!
お父さんそこは「お兄さん困ってるだろ」でしょうがぁぁぁぁ!!
援護射撃かと思ったら完全に狙いはおれでしたぁぁぁぁ!!
こうしてお父さんと子どもとおれの三人は運命共同体となった。
果たして我らトリニティ(命名)はA賞のおっきいぬいぐるみを獲得することができるのか。
こうなってしまわないことを切に願う。
(後編へ続く)